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本記事は、川村文化芸術振興財団に提出された報告書をもとに、原稿整理、短縮などの編集、再構成を行ったものです。

マダン:民衆が共謀する広場

【申請プロジェクト名】
マダン:民衆が共謀する広場

【申請者名】
マダン劇プロジェクト

【助成金】 50万円


【概要】
マダン劇プロジェクトは、日韓朝のアーティスト、キュレーター、地域コミュニティーが協働してマダン劇に関するワークショップ、パフォーマンス試作、トークイベントを行うことで、現代社会におけるマダン劇の実践的価値を探求する(マダンとは、韓国・朝鮮語で地域社会の共同広場という意味)。
日本におけるマダン劇は、1980年代以降、多くの在日韓国・朝鮮人がともに暮らす町、京都市東九条の祭りである「東九条マダン」を含む在日コミュニティーの間でさまざまなかたちで上演が行われるなど、コミュニティー、多文化共生、地域問題に取り組んできた。しかし、そうしたマダン劇の芸術実践的および歴史的価値についてはあまり検討が行われてこなかった。
本プロジェクトでは、主に京都におけるマダン劇の精神および表現形式をリサーチするとともに、ワークショップおよびパフォーマンス試作を中心とする協働の場を開くことで、日韓の間で民衆の在り方を描いてきたマダン劇の現代的意味を新たに提示する。


【開催/実施/発表】

●「マダンのマ」ワークショップ|2024年8月25日
〈会場〉地域・多文化交流ネットワークサロン(京都市)
〈参加人数〉15人


●「マダン」東九条マダン参加|11月3日

〈会場〉元・陶化小学校(京都市)


●アフタートーク|12月21日

〈場所〉コ本や(東京都新宿区)

〈収容人数〉20人程度

「マダンのマ」ワークショップの様子


【成果】

マダン劇は、韓国の伝統的な仮面劇であるタルチュムを継承した上演形式として、1960〜80年代の民衆文化運動の現場を中心に展開された。軍事政府による長きにわたる独裁政治の下、表現の自由は大きく制限される中で、マダン劇は、歴史発展の主体が民衆であるという認識に基づき、人間の平等と権利を抑圧する不正な権力に抵抗する批判精神を発揮した。
本プロジェクトでは、京都におけるマダン劇の精神および表現形式をリサーチするとともに、ワークショップでは、参加者同士が自らの身振りや言葉、呼吸を共有し、時代や地域、共同体や個人によって異なる意味を表す「マダン」が互いに共鳴する場を体現した。
「マダンのマ」ワークショップの様子
マダン劇プロジェクトのメンバーである遠藤麻衣と良知暁が第32回東九条マダンに俳優と撮影スタッフとして参加し、東九条マダンの開催を実際にサポートしながらその過程を体験するのみならず、東九条マダン実行委員会およびスタッフの人々との関係づくりを行った。単なるリサーチを目的とするよりは、マダン劇プロジェクトがその実践の一部を支えることで、身体で歴史を記述する仕組みを探求し、さらに今後の東九条マダンのあり方を想像することを目指した。
アフタートークからなる協働の場を開くことで、日韓の間で民衆の在り方を描いてきたマダン劇の現代的意味を新たに提示した。


【プロジェクトデータ】

参加アーティスト:遠藤麻衣、良知暁、カク・ソジン、キム・ヒャンスリ スタッフ:権祥海(運営)、ユ・ジウォン(会計)、ゴ・ギョル(制作) デザイン:ワン・ジャラン 写真記録:良知暁 映像記録:カク・ソジン 主催:マダン劇プロジェクト 協力:HAPS、ロームシアター京都

「マダンのマ」ワークショップの様子