※本記事は、川村文化芸術振興財団に提出された報告書をもとに、原稿整理、短縮などの編集、再構成を行ったものです。
闘う糸の会 私たちのJusticia
【申請プロジェクト名】
闘う糸の会 私たちのJusticia
【申請者名】
闘う糸の会
【助成金】 30万円
【概要】
闘う糸の会ワークショップは、岩間香純が開催した「南米フェミニストアートアクティビズム」というオンライン講座の受講生とともに始まった。岩間から短く南米エクアドルのフェミサイドとアクティビズムについてお話しさせていただき、参加者といっしょにテーマについて議論し、内容はその後のバンダナ制作に反映させた。制作中も手を動かしながら出席者で対話を深め、仕事や学校でのセクハラ、痴漢、育児、性差別、宗教、天皇制、アート業界の差別、本や映画など、多様な話題が出た。
制作した緑のバンダナは、2時間という短い時間にもかかわらず、力強く完成した。手法も針と糸だけでなく、フェルトやビーズなども用意することで、初心者から経験者、どんな人でも充実した制作ができてよかったと思っている。
【開催/実施/発表】
【成果】
ワークショップの作品展示は愛知県刈谷市だけでなく、東京でも3日だけ行ったのだが、たくさんの人が観に来てくれた。わたしたちも香純さんといっしょに1日だけ在廊したのだが、絶え間なく誰かとずっと話をしていたくらい、知っている人や知らない人がたくさん足を運んでくれた。
会場となった新宿にあるインフォショップ、Irregular Rhythm Asylum(IRA)ではちょうど去年(2022年)のクリスマスに「クリスマスツリー爆弾事件」で宮城刑務所収監中の無期懲役囚、鎌田俊彦さんが読んだ本を放出する古本市とイベントを行っており、2月からは刑務所に収容されている人たちに手紙を書くという取り組みをちょうど始めたばかりだった。その偶然のタイミングもあり、IRAの成田さんとは坂上香さんとムヘレス・デ・フレンテの対談動画の内容のこと、収容されるということでの暴力性や、そしてそのなかでの処遇について、そしてそれを外からどう支援するのかということについて、すごく話が盛り上がった。点と点みたいだったいろんな話が自分の中でつながって、自分には何ができるのか、突きつけられたように感じた。
緑のバンダナに囲まれて、さまざまな表現を浴びながら、行ったことのない海の向こうのエクアドルをものすごく身近に感じたワークショップだったから、日本で作ったバンダナ作品を見て、もしエクアドルの人たちにもそのように感じてもらえたらうれしいなと思う。(フェミニスト手芸グループ山姥 かんな)
あいちトリエンナーレ2019の展示から3年半が経ちましたが、私たちの活動は残念ながらまだ必要とされています。つまり性差別や性被害はなくなっていません。しかしながら、世界中でそれらに立ち向かう人々が増えエンパワーメントし合っていると、今回の活動を通して力強く感じとりました。
ワークショップや展示で語られた社会課題にはラテンアメリカと日本で通じることが数多くあり、両国の参加者・鑑賞者が国を越えて共有する機会を持つことができました。他に例を見ない意義深い取り組みとなったと感じています。
私たちは今後も世界から性差別や性暴力がなくなるまで活動し続けたいと、強く思いました。(Our Clothesline with Mónica Mayer モモ)
今後も闘う糸の会は活動を続けて行く。日本のフェミニストの間で南米のフェミニズムに対して関心が高まりつつあるが、言語の壁や物理的距離がありなかなか互いに交流する機会はない。だからこそ、欧米を媒介せず南米と日本のフェミニズムを直接繋げることができる当プロジェクト「闘う糸の会」は、今後も重要な活動になっていくことを期待している。