※本記事は、川村文化芸術振興財団に提出された報告書をもとに、原稿整理、短縮などの編集、再構成を行ったものです。
ネガティブな想像上の家族からポジティブな家族像を生み出すために
【申請プロジェクト名】
ネガティブな想像上の家族からポジティブな家族像を生み出すために
【申請者名】
寺田健人
【助成金】 40万円
【概要】
本プロジェクトは、日本社会で共有されてきた規範的な家族像を見つめ直し、クィアの視点から新しい家族イメージの可能性を考えるための芸術実践である。申請者はこれまで、存在しない家族との関係を想定して撮影するセルフポートレート作品《想像上の妻と娘にケーキを買って帰る》を制作し、家族という制度がどのように社会の中で形づくられているのかを問い直してきた。
近年、日本ではパートナーシップ制度の導入などを背景に、性的マイノリティーをめぐる社会的理解が進みつつあると語られることが増えている。しかし一方で、家族や職場などの日常生活の場面では、依然として異性愛を前提とした価値観が強く残っており、自身のセクシュアリティを公にできないまま生活している人も少なくない。その結果として、クィアの人びとが異性愛者として振る舞う、いわゆる「ノンケの振り」を行いながら生活している状況も見られる。
本プロジェクトでは、このような状況に着目し、クィアの人びとがどのように社会の中で異性愛者として振る舞ってきたのか、またどのような関係性を求めているのかについて、聞き取りを通して記録を行った。具体的には、申請者の周囲にいるクィアの友人たちに話を聞き、その語りとともに写真撮影を行い、オーラルヒストリーと写真表現を組み合わせた形で制作を進めた。
制度としては多様性が語られるようになった現在においても、個人の生活のレベルではカミングアウトが難しい状況が存在している。本プロジェクトは、そうした社会の状況と当事者の生活とのあいだにあるズレに目を向けながら、クィアの人びとの経験を記録し、想像上の家族というテーマを手がかりに現代の家族のあり方を考える試みである。
【開催/実施/発表】
●オープンスタジオ
【成果】