※本記事は、川村文化芸術振興財団に提出された報告書をもとに、原稿整理、短縮などの編集、再構成を行ったものです。
女たちの黙示録
【申請プロジェクト名】
女たちの黙示録
【申請者名】
キュンチョメ
【助成金】 40万円
【概要】
ソーシャリー・エンゲイジド・アート支援助成で、『女たちの黙示録』を制作。さまざまな立場の女性に話を聞き、現在、彼女たちが抱えている不安や恐怖をもとに「世界の終わり」の物語を紡いだ。また、そこで生み出された、女性たちの考える「世界の終わり」を配布型アート/演劇へと発展させた。
演劇は、観客のもとに黒い箱に入ったクッキーが送られてくる。このクッキーを食べると中から電話番号の書かれた紙が出てくる。電話をすることで「女たちの黙示録」の物語にアクセスできる仕組み。配布型作品としたのは、新型コロナウイルスによる移動の困難という社会的状況に対応するため。また、遠出ができない、観劇の余裕がないという人にも作品を届けられる形式にするため。さらに、ミソジニーの主戦場となっているSNS、動画配信サービスなどを使用したくなかった背景もある。
【開催/実施/発表】
●「女たちの黙示録」(「シアターコモンズ’22」にて)
〈参加人数〉
約600人(配布)
〈会場〉
郵送、シアターコモンズプログラム各実施会場(東京・港区エリア各所)(主催:シアターコモンズ実行委員会、ほか)
【成果】
コロナ禍という共同制作が難しい状態のなかで、あえて他者・社会、ソーシャリー・エンゲイジド・アートを意識した作品制作を行えたことで、新しい制作の方向性を生み出すことができた。「人の話を聞く」という制作の本質についても、注意深く思考しながら制作を行った。そのため、「特定の人に依頼をして話を聞きに行く/対話をする」という方式だけでなく、私たちがさまざまな場所へ出向いて、そこで(私たちに関係なく)偶然会話をしている人々の声に耳を傾き続ける、という方法を取り入れた。
多くの女性たちが「でも、しかたない」と自分の現状を笑う姿を何度も目撃したが、しかしその「しかたない」という諦念は、社会が彼女たちを諦めさせようとした結果、生まれた感情であるように思えた。