archive 2020年度アーカイブ

本記事は、川村文化芸術振興財団に提出された報告書をもとに、原稿整理、短縮などの編集、再構成を行ったものです。

ちょちょまうヴァナキュラー〜にしなり+路上+野点+屋台〜

【申請プロジェクト名】
ちょちょまうヴァナキュラー〜にしなり+路上+野点+屋台〜

【申請者名】
ブレーカープロジェクト実行委員会

【助成金】 400万円


【概要】
『ちょちょまうヴァナキュラー』は、大阪市西成区にて地域に密着したアートプロジェクトを展開するブレーカープロジェクトと、各地の路上などで「野点」と題した表現活動に20年以上 にわたって取り組む美術家、きむらとしろうじんじんが、公共空間の在り方を再考するアートの実践である。「ちょちょまう(=うっかり、テンパってなにかをしでかしてしまう)」と「ヴァナキュラー(=風土、土着)」を組み合わせたタイトルは、その土地で新たになにかをやってみようとしたときに起こる摩擦も含めた大小さまざまな出来事、そこから生まれる関係性などの蓄積がその土地の風土を形成していくものと考え、名付けられた。
 参加者とともにまち歩きを重ね、発見したまったく趣の異なる3カ所の「まちの余白」を「ちょちょヴァナ」の開催地とし、その土地の持ち主や周辺住民、行政などとの調整・交渉を経て、秋と春の本番開催に至る。


【開催/実施/発表】

春の本番「ちょちょヴァナ その2」(2022年3月20日、天下茶屋駅東口広場)より 撮影:草本利枝

ちょちょまうヴァナキュラー〜にしなり+路上+野点+屋台
〜2021年4月1日〜2022年3月31日


今宮つながり広場、天下茶屋駅東口広場、真ん中に大きな木のある空き地、旧今宮小学校ほか、大阪市西成区内各所

●おさんぽ大会+説明会

地域内外より集まった有志のみなさんとともにまちを歩き、空き地や公園、路肩など、まちの余白をいっしょに発見し、関係各者・各所との調整を経て会場を決定。

同時に参加者がそれぞれ考える「妄想屋台*」についても、実現に向けて相談していく。

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*きむらとしろうじんじんの考える「妄想屋台」とは
「魅力の予感」を路上に持ち出した時の「風景(そこでおこる・ある・もの・こと・すべて)」総体を想像し、それを風呂敷一枚、身一つででも具体化して 現実に着地させてみることを「妄想屋台」と呼んでみている。

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1)「西成のまちを歩こう その1」|2021年5月23日(日)、旧今宮小学校、参加:11人

2)「西成のまちを歩こう その2」|2021年6月19日(土)、旧今宮小学校、参加:21人

3)「おさんぽ+屋台の相談をしよう」|2021年6月20日(日)、旧今宮小学校、参加:18人

4)「春の開催場所決定おさんぽ」|2021年7月31日(土)、旧今宮小学校、参加:23 人

5)「おさんぽ+妄想屋台大プレゼン大会!」|2021年8月1日(日)、旧今宮小学校、参加:19人

6)「今池こどもの家のみんなと歩こう」|2021年12月18日(土)、旧今宮小学校、今池こどもの家、参加:16人

7)「あいさつまわりと現場確認さんぽ」|2022年1月22日(土)、旧今宮小学校、参加:7人

8)「あいさつまわりと現場確認と妄想屋台の最終相談会」|2022年1月23日(日)、旧今宮小学校、参加:8人



●今宮工科高校(以下、今宮工高)との連携

生徒たち各々が魅力と思うモノやコトを路上に持ち出す「妄想屋台」を計画するため、きむらとしろうじんじんが3年生に向けた授業と2年生に向けた説明会を行う。その後、多くの活動をともに行った。


・今宮工高工学系3年生「課題研究」授業
2021年5月24日(月)、6月21日(月)、今宮工高、参加:のべ38人(放課後に実施した妄想屋台相談会の参加人数含む)


・屋台進捗確認、ふりかえり(授業時間外活動)
2021年10月16日(土)、17 日(日)、12月17日(金)、22年2月20日(日)、今宮工高、旧今宮小学校、参加:のべ63人


・本番準備、片付け、挨拶回り(授業時間外活動)
2021年10月30日(土)、11月2日(火)、22年2月28日(月)、3月13日(日)、19日(土)、24日(木)、28日(月)、今宮工高、旧今宮小学校、今宮つながり広場、真ん中に大きな木のある空き地、ほか、参加:のべ86人

「おさんぽ+屋台の相談をしよう」(2021年6月20日)

●今池こどもの家との連携

「今池こどもの家」に通う子供たちが案内役となり、オススメする場所を巡るまち歩きツアーを計画。新型コロナウイルスの影響で二転三転しつつも、12月から準備を再開し、春の本番(3月26日)に実施。

「おさんぽ会議」

2021年12月17 日(金)、22年1月21日(金)、28日(金)、2月21日(月)、3月24日(木)、30日(水)、今池こどもの家、参加:のべ95人

「おさんぽツアー・リハーサル」

2022年1月29日(土)、2月19日(土)、3月11日(金)、16日(水)、西成区今宮・天下茶屋エリア、参加:のべ34人

●野点スタッフ体験説明会

実際に窯を焚いて野点の作業をひととおり体験するほか、秋の本番に向けて妄想屋台のリハーサルも実施。

2021年9月23日(木・祝)、旧今宮小学校、参加:28 人

●秋の本番

春の本番でまちなかに出る前に、秋にいちど旧今宮小学校のグラウンドで屋台を開いてみるという計画が、選挙日と重なって会場が急遽変更に。おさんぽ大会で地域の方に教えてもらっていた候補地のひとつ、三角公園の向かいにある「今宮つながり広場」での開催となる。

「ちょちょヴァナ その1」
2021年10月31日(日)、今宮つながり広場、来場:242人、野点サポートスタッフ:22人、妄想屋台メンバー:23人(今宮工高)、5人(一般) プログラム:・野点─焼立器飲茶美味窯付移動車(きむらとしろうじんじん)、・妄想屋台/コーヒーと本の屋台(地元住民)、タネ屋台(NPO 法人多文化福祉センターCAMICA)、クイズナニモン(今宮工高生徒)、図書紹介屋台(今宮工高生徒)、見立て屋(今宮工高生徒)、科学実験屋台(今宮工高生徒)、ウクレレ即興演(西成・子どもオーケストラ(ブレーカー・プロジェクトの別プログラム))、作業場の薪ストーブリアカー(作業場@旧今宮小学校(ブレーカープロジェクトの別プログラム)より出張)

今宮工高生徒による妄想屋台「図書紹介屋台」、春の本番「ちょちょヴァナ その2」(2022年3月20日、天下茶屋駅東口広場)より 撮影:草本利枝

●春の本番

西成のまちを何度も歩いて見つけた開催候補地のなかから、春の本番の会場が確定。1日目の開催地は、西成区内でも不特定多数の人々が行き交う交通の要所である天下茶屋駅前。2日目は、おさんぽ会で奇跡的に出会い、参加者一同が惚れ込んだ住宅街のなかにぽつんと現れる魅力的な空き地。当日は、きむらとしろうじんじんの「野点」とともに地元高校生や地域の方たちが繰り広げる「妄想屋台」、子供たちが案内するおさんぽツアーも実施。


「ちょちょヴァナ その2」
2022年3月20日(日)、天下茶屋駅東口広場、来場:カウント不可、野点サポートスタッフ:22人、妄想屋台メンバー:23人(今宮工高)、5人(一般) プログラム:・野点─焼立器飲茶美味窯付移動車(きむらとしろうじんじん)、・妄想屋台/コーヒーと本の屋台(地元住民)、図書紹介屋台(今宮工高生徒)、見立て屋(今宮工高生徒)、ウクレレ・カホン等の即興演奏(西成・子どもオーケストラ参加者)


「ちょちょヴァナ その3」
2022年3月26日(土)、真ん中に大きな木のある空き地、来場:230人、野点サポートスタッフ:20人、妄想屋台メンバー:16人(今宮工高)、3人(一般)、4人(今池こどもの家) プログラム:・野点─焼立器飲茶美味窯付移動車(きむらとしろうじんじん)、・妄想屋台/コーヒーと本の屋台(地元住民)、図書紹介屋台(今宮工高生徒)、見立て屋(今宮工高生徒)、ウクレレ・カホン等の即興演奏(西成・子どもオーケストラ参加者) ・子どもたちが案内するおさんぽツアー(今池こどもの家)

今宮工高生徒による妄想屋台「図書紹介屋台」、春の本番「ちょちょヴァナ その2」(2022年3月20日、天下茶屋駅東口広場)より 撮影:草本利枝

【成果】

春の本番「ちょちょヴァナ その3」(2022年3月26日、真ん中に大きな木のある空き地)より 撮影:草本利枝
「ちょちょヴァナ」の本番では、きむらとしろうじんじんの「野点」とともに、地元高校生や地域住民による「妄想屋台」、地域の児童館に通う子供たちが案内するまち歩きツアーを展開。西成区内のみならず他地域からも多くの来場者があり、その年代も10代から70代と幅広く、参加動機も多様であった。このように、本番を一つの着地点と位置付けつつも、一連のプロセスを通して路上や空き地といった公共空間を表現の場として活用していくことで、ふだんは会うことのない多様な人たちが出会う場を創出し、日常のなかに新たな風景を出現させた。